January 31, 2010

野獣の青春

1963年4月(製作=日活)の作品です。監督は鈴木清順、脚本は池田一朗・山崎忠昭、原作は大藪春彦です。

鈴木清順の初期の作品ですが、日活アクションの流れのなかで、美術・色彩へのこだわりが見えます。とはいえ、そこまで強調されているわけではないので、見やすい。宍戸錠は元刑事。公金詐取や暴力行為で刑務所に入れられ、刑事でいられなくなってしまって数年。神戸で追いかけていた事件以降、流れ者として全国を津々浦々。タダものではないオーラを出しながら、ある組織に近づきます。やくざから、一般の会社風に見かけを装いながら、コールガールを集めた売買春や麻薬売買などに手を染めています。

そこの社長は小林昭二。専務に金子信雄。若い連中を可愛がり、店で相当の羽振りのよさを見せる宍戸に早々の怪しさを感じながらも、金がないと居直る宍戸の腕の確かさを認め、組織に入ることを了承。確かに他のどの組員よりも度胸があり、頭も冴え、腕もある。一仕事終えて、仲間の江角英明からも信頼を得ながらも、誘いを断って向かった先はある男の49日。それは同じように神戸で捜査に当たっていたある刑事の法事だったのです。警察学校からの友人であった男がコールガールと心中して死んだ。その話がどうしても信じられず、宍戸は真相を明らかにしようとしていたのです。



コールガールを集めてということであれば、小林のグループが臭い。真相に迫るため、元々の親分であった信欣三らの組織にも近づき、両者をうまく方向づけながら、対立をエスカレートさせ、その狭間の中で有益な情報が得られないかと潜伏を続けるのです。それを知ったかつての同僚鈴木瑞穂にたしなめられながらも、一人、思いを遂げるまでは命の危険を顧みず、銃弾の中を潜り抜けていきます。一つの特徴は小林に何人もの女がいるということ。しかも、小林は極度の嫉妬症。一端疑い出すとどこまでも攻め立てるサディスティックな性格を持ちます。この小林がやはり怪しいというのが宍戸の見立て。

そして、その小林の6番目の女であり、友人の死に手をかけたのがなんとその妻であった渡辺美佐子だったというから、宍戸の驚きは尋常ではありませんでした。元々、小林の女だった渡辺は捜査4課の動きを知るために夫に近づき、結婚。さらには、その殺しにまで加担し、その後も未亡人を演じ切っていたのです。最初は自分の身元を明かさなかった宍戸が、仲間の江角の怪我を治療し、警察からの追手を逃れるために渡辺の編物教室に隠れ、その間にも小林と信双方を工作し、自分の目的を告げてしまったため、小林にすべてが筒抜けになってしまったとき、ようやく事の真相を知るのです。



時すでに遅し。元刑事であったことはすでにばれていましたが、その境遇から特に消されずに済んだものの、今度は、そういうわけにはいかず、もう殺される寸前。しかし、火を付けた信らが押し込み、組織同士の対立のどさくさにまぎれ、縛られた縄を自力でほどき、小林に銃口を突き付け、すべてを吐き出させることに成功するのです。そして向かった先は、小林の弟の川地民夫と談笑する渡辺のところでした。川地にすべてを吐かせ、それを録音し、鈴木に一報。そして、宍戸はまたどこかに流れていくのでした。背中がさびしい。

yaju















(Y)



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