1967年10月(東映京都)の作品です。企画は岡田茂・松平乗道、監督は山内鉄也、助監督は大西卓夫、脚本は 田坂啓・山内鉄也、原作は野村胡堂です。

引き続き、山内鉄也の作品。これまた時代物。橋蔵はこの作品以降、映画からは遠ざかります。時代的にもテレビの台頭に、映画は打ち勝てない。そんな後退期に入る時期。「男だったら~♪」のテーマソングを唄うのはコロムビア所属の舟木一夫。特別出演で、平次こと橋蔵を助けます。幼馴染であった小池朝雄と賭場で捕えられ、親方にこっぴどく叱られますが、町奉行の大友柳太郎の情けもあり、釈放。しかし、その直後に親方は殺されてしまうのです。一介の鳶に過ぎなかった橋蔵は大友のところに出向き決意を語ります。その時、銭形平次が誕生するのです。父親が同じように十手を持っていたことがあり、そのこだわりが自らの人生の選択肢から、十手が外れていた訳です。それに改めて向き合う平次。

心中に見せかけた殺された親方の非業の真実をなんとか明かしたい思い、奔走する橋蔵。銭捌きも鮮やかです。話の筋は娯楽時代劇として特別に変わるところがある訳ではありません。しかし、銭形平次というキャラクターを世に広めた画期となる作品のようです。久しぶりに再会した小池と親しくする橋蔵ですが、実はこれが犯人一味の一人であり、大元には名和宏がいるのです。名和との一騎打ちの際に、危機一髪を救うのが、小池。小池の悪役のパターンに、実は不本意ながらそのようになってしまったというものが稀にあります。



任侠映画全盛期に一方で銭形平次のような作品が人気を博したというのはいろいろと考えるとこもありますが、ストーリーは単純明快である点は共通しています。なんといっても東映京都の作品なので同じ撮影所で作られていたのですから。親方の娘と将来は一緒になることになっていた平次は余計にしゃかりきになりますが、親方が探ろとしていたライバル材木問屋にはめられた訳ですが、その末端で殺しを担っていたのが小池だったという訳です。その背後に名和が控えているというあたりがなんとも東映という感じです。

もう少しスピーディーな作品かと思いましたが、意外にもスローテンポの印象を受けました。演者の躍動が足りないというか、チャンバラのシーンも、銭を飛ばすという工夫は面白いのですが、ちょっと迫力に欠けるところはあります。

image001














(Y)